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一人親方も個人事業主も労災に入れる|「特別加入」という、知っておきたい制度

保険・税金
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たとえば、大工の一人親方。現場で足場から落ちて骨折し、数ヶ月、仕事ができなくなった——。雇われている職人なら労災が使えますが、一人親方は「自分は雇われていないから、労災には入れない」と思い込んでいる人が少なくありません。

でも、それは誤解です。労災保険には「特別加入」という制度があり、一人親方や個人事業主も入れます。業務中のケガや病気で働けなくなったとき、治療費や休業補償が受けられる。国民健康保険には傷病手当金がないぶん、知っておく価値の大きい制度です。仕組みと対象、注意点を整理します。

先に結論

  • 「自分は雇われていないから労災に入れない」は誤解。一人親方や個人事業主は、労災保険の「特別加入」で入れる
  • 対象は、建設業の一人親方(大工など)、運送業、配達員(フードデリ・軽貨物)など。2024年11月からは、業務委託で働くほぼ全業種のフリーランスも対象に
  • 補償は、業務上のケガ・病気で療養のため働けないと、治療費・休業補償(給付基礎日額の80%)・障害補償・遺族補償など
  • 加入は特別加入団体を通じて。給付基礎日額(3,500〜25,000円)を選び、保険料は全額自己負担(日額×365×業種別料率)+団体の会費
  • 国民健康保険には傷病手当金がないので、業務上のケガに備える手段として、特別加入は知っておく価値が大きい
  • 【配達員は注意】特別加入が出るのは「本人のケガ・病気」。車の故障で働けない分は出ないので、預貯金も併せて

個人事業主に「傷病手当金」はない

まず、なぜ備えが要るのかから。

会社員が入る健康保険には傷病手当金があり、業務外の病気やケガで働けないと、待期3日のあと標準報酬日額のおよそ3分の2が、同じ病気につき通算で最長1年6ヶ月支給されます。ところが、個人事業主が入る国民健康保険には、この傷病手当金がありません。働けなくなれば、収入は基本ゼロ。有給もありません。

だからこそ、せめて業務上のケガや病気には、公的な備えを持っておきたい。それが、これから説明する労災の「特別加入」です。

労災保険の「特別加入」とは

労災保険は本来、雇われて働く人のための制度です。ただし、働き方の実態が労働者に近い一人親方や個人事業主は、「特別加入」という形で入れます。

  • 対象(例):建設業の一人親方(大工・左官・とびなど)、運送業、自動車や原付を使うフードデリバリーの配達員、貨物軽自動車運送(黒ナンバー)など。さらに2024年11月から、企業などの業務委託を受けて働くほぼ全業種のフリーランス(デザイナー・ライターなども)が対象に加わりました
  • 補償の内容:業務上(や通勤)の負傷・疾病で、療養のため働けなくなったとき、治療費(療養給付)、休業補償(給付基礎日額の80%=休業補償給付60%+特別支給金20%、休業4日目から)、障害補償、遺族補償などが受けられます
  • 加入のしかた:特別加入は、業種ごとの特別加入団体(労働保険事務組合など)を通じて申し込み、労働局長の承認を受けます。補償のベースになる給付基礎日額を3,500〜25,000円(16段階)から選び、保険料は「日額×365×業種別の保険料率」で計算。保険料は全額自己負担で、団体の入会金・会費が別途かかります
  • 要件・注意点:給付の対象は、あくまで「本人の、業務上の負傷・疾病」です。業務中といえる状況だったか(業務遂行性)の判断もあります

民間の保険を検討する前に、まずこの公的な制度を知っておく。これが順番です。

大工の一人親方のケース

冒頭の例で考えます。

大工の仕事は、高所作業や重量物の扱い、刃物の使用など、ケガのリスクが高い仕事です。現場で落下して骨折、数ヶ月働けない——というのは、決して大げさな話ではありません。

このとき、特別加入していれば、治療費は労災でカバーされ、さらに休業補償として給付基礎日額の80%が受けられます。していなければ、治療費は通常の健康保険(自己負担3割)で、その間の収入はゼロ。この差は、とても大きい。ケガのリスクが高い職種ほど、特別加入の価値は大きくなります

配達員の場合は——車の故障に注意(私のケース)

ここからは、私のような配達員の視点で、補足です。

配達員(フードデリや軽貨物)も、特別加入の対象です。配達中の事故やケガに、公的保険で備えられるのは心強い。ただし、一つ注意点があります

特別加入で休業補償が出るのは、繰り返しになりますが「本人のケガや病気」のとき。配達員に多い「車が故障して稼働できない」というケースは、自分が元気でも仕事が止まりますが、これは本人の傷病ではないので労災では補償されません。民間の就業不能保険・所得補償保険も同じく、本人の病気・ケガが要件なので、車の故障では出ません。

だから配達員は、二段構えがいい。業務上のケガ・病気には特別加入で備え、車の故障や収入が止まる期間には、預貯金で備える。車の故障そのものは、日頃のメンテで防ぐ。修理代や、休んだ間の生活費は、預貯金でしのぐ——車の故障に効くのは、保険ではなく、結局この備えです。自動車保険を見直して保険料を下げ、浮いたぶんを預貯金に回す考え方や、お金の土台づくりは、こちらでも書いています。

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まとめ

  • 「自分は労災に入れない」は誤解。一人親方や個人事業主は、労災の特別加入で入れる
  • 大工などの一人親方、配達員、2024年11月からはほぼ全業種のフリーランスが対象
  • 業務上のケガ・病気で療養のため働けないと、治療費・休業補償(給付基礎日額の80%)など。国保に傷病手当金がない弱点を補える
  • 加入は特別加入団体を通じて。給付基礎日額を選び、保険料は全額自己負担
  • 配達員は、車の故障は労災で出ないので、特別加入+預貯金の両構えで

「自分は労災に入れない」は、思い込みかもしれません。一人親方も、配達員も、特別加入という選択肢があります。知っておくだけで、いざというときの安心が変わります。

なお、対象になるかどうかや手続き、保険料は業種や加入団体で変わります。詳しくは、自分の業種に合った特別加入団体や、労働基準監督署で確認してください。

@tk_fooddeli

フードデリバリー・Amazonフレックス・宅急便で5年以上稼働する現役配達員。軽トラで20万9,000kmを走り抜き、現在は軽スーパーハイトワゴンで稼働中。実体験ベースで、軽自動車稼働・維持費・お金の話を発信しています。

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