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死亡保険は「不安」で入ると損をする|必要な額だけを、掛け捨てで持つという考え方

保険・税金
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「もしものとき、家族が困るから」。その気持ちで、なんとなく手厚い死亡保険に入っている人は、とても多いと思います。でも、死亡保険は“不安の大きさ”で決めるものではありません。決め方は、たった一つ。「自分に何かあったとき、いくら足りないのか」です。今日は、その考え方を、できるだけ正直に整理します。

死亡保険は「いくら足りないか」で決める

考え方はシンプルです。遺された家族に必要なお金から、家族に入ってくるお金を引く。その“足りない分”だけを、保険でカバーする。それだけです。

必要保障額 = 遺族に必要なお金 −(公的保障+配偶者の収入+貯蓄など)
この「足りない分」を超える保険は、払いすぎです。

多くの人は、右側の「家族に入ってくるお金」を計算せずに、左側の不安だけで保険を選んでしまいます。だから、必要以上の保険料を、何十年も払い続けることになるのです。

【例】平均値で、ざっくり計算してみる

言葉だけだとイメージしづらいので、平均的な数字を当てはめて、一度ざっくり計算してみます。あくまで「考え方の練習」で、実額は家庭ごとに大きく変わります。

前提:夫35歳・妻・10歳の子の3人家族。賃貸暮らし。夫に万一のことがあったとき、子が大学を卒業する22歳まで(あと12年)を支える、と考えます。

① これから必要なお金(支出)

  • 生活費(家賃込み・妻と子の2人分):月20万円 × 12年 = 約2,880万円
  • 教育費(今の10歳から、高校まで公立・大学は私立文系):約1,150万円
  • 葬儀・予備費:約200万円
  • 支出の合計:約4,200万円

② 入ってくるお金(収入・資産)

  • 遺族年金(会社員世帯の場合):約1,400万円
  • 配偶者の収入(パートで月8万円 × 12年):約1,150万円
  • 貯蓄:約200万円
  • 収入・資産の合計:約2,750万円

③ 必要保障額 = ① − ② = 約1,450万円

つまり、この家庭が保険で備えるべきは、ざっくり1,500万円ほど。これを掛け捨ての「収入保障保険」(毎月の年金の形で受け取るタイプ)で用意すると、保険料の目安は月2,000〜3,500円程度です(年齢・性別・喫煙の有無・保険会社で変わります。参考までに、ある収入保障保険では年金月額15万円・65歳までの保障でも、30歳男性・非喫煙で月4,400円ほど)。もし手厚い終身保険に月1〜2万円払っているとしたら、その差は歴然です。

なお、これは会社員世帯の例です。自営業(国民年金のみ)は遺族厚生年金がないぶん、必要保障額はこれより大きくなります。逆に、配偶者の収入が多い・貯蓄が多い・子の進路が国公立、といった場合は、必要額はぐっと下がります。大事なのは、1円まで正確に出すことではなく、「不安のまま入るのではなく、一度、数字にしてみる」ことです。(教育費は文部科学省「子供の学習費調査」と日本政策金融公庫の調査、生活費は総務省「家計調査」、保険料は各社の保険料例を参考にしています。)

まず、公的保障(遺族年金)を知る

見落とされがちなのが、公的な保障です。ここは誤解が多いのですが、遺族年金は「健康保険」ではなく「年金」の制度です。健康保険料ではなく、年金保険料(国民年金・厚生年金)を納めてきた人の遺族が対象で、一定の納付要件を満たしている必要があります。

そして、自営業か会社員かで、受けられる中身が変わります。自営業(国民年金のみ)の場合は、子どものいる家庭に「遺族基礎年金」。2025年度で、年額およそ83万円に、子の加算(第1子・第2子は各およそ23万円、第3子以降は各およそ8万円)が上乗せされます。(※子のいない配偶者には、遺族基礎年金は基本的に支給されません。)

会社員(厚生年金)の場合は、これに加えて「遺族厚生年金」——亡くなった人の厚生年金(報酬比例部分)の4分の3ほど——が上乗せされます。たとえば会社員の夫が亡くなり、妻と子ども1人が遺されたケースなら、遺族基礎年金だけでも年100万円以上、そこに遺族厚生年金が乗ります。

ここで大事なのが、私たちのような個人事業主・フリーランス(自営業)は、遺族厚生年金がないぶん、公的保障が薄いという点です。つまり会社員より、自分で備えるべき「足りない額」が大きくなりやすい。自営業の人ほど、この計算は真剣にやる価値があります。(金額や制度は改正されることがあるため、自分の場合の正確な額は、必ず日本年金機構で確認してください。)

だから、独身・子なしは「ほぼ要らない」

この考え方で見ると、答えが出る人がいます。独身の人や、共働きで子どものいない人です。あなたが亡くなって、経済的に本当に困る人がいないなら、大きな死亡保険は要りません。必要なのは、せいぜい自分の葬儀代くらい。それも貯金でまかなえるなら、死亡保険そのものが不要、というケースも多いのです。

逆に、死亡保険が本当に必要なのは、自分の収入で生活している家族がいる人——とくに、小さな子どもを育てている世代です。保険は「不安な人」ではなく、「遺された家族が実際に困る人」が持つもの。ここを取り違えないことが、いちばん大事です。

入るなら「掛け捨て」で、必要な分だけ

では、必要な人はどう入るか。結論から言うと、掛け捨て(定期保険・収入保障保険)で、必要な期間・必要な額だけ、が合理的です。

よく比較される「貯蓄型(終身保険・養老保険)」は、保険料がぐっと高くなります。「掛け捨てはもったいない」と言われがちですが、その分、月々の負担は重く、保障と貯蓄のどちらも中途半端になりやすい。同じ保障を、はるかに安い掛け捨てで用意して、浮いたお金を自分で貯める・運用するほうが、たいていの場合は合理的です。「保険は保障、貯蓄は貯蓄」で分ける——これが基本の考え方です。

すでに貯蓄型保険に入っている人へ

ここまで読んで、「自分はもう貯蓄型(終身保険・養老保険など)に入っている」という人もいると思います。その場合の考え方も、書いておきます。

資産形成の手段として見ると、貯蓄型保険はあまり効率がよくありません。保険料のうち、けっこうな部分が手数料や保障のコストに消え、貯まるお金は割に合わないことが多い。だとすれば、保障は割安な掛け捨てで確保し、貯蓄・運用は保険とは別で行うほうが、たいていは合理的です。方向性としては、貯蓄型はやめて、掛け捨て+自分での貯蓄・運用に切り替える、が基本になります。

ただし、解約には「順番」と「注意点」があります。まず、先に新しい掛け捨て保険で保障を確保してから、古い貯蓄型を解約すること。順番を逆にすると、その間に万一があったとき無保険になりますし、健康状態によっては新しい保険に入れない・保険料が上がることもあります。もう一つ、貯蓄型は解約返戻金が払込額を下回る(元本割れする)ことがある——とくに加入から日が浅いうちは、その傾向が強い。解約する前に、必ず解約返戻金の額を確認してください。

(私は保険の専門家ではありません。解約は取り返しのつかない判断にもなり得るので、自分の保険証券の内容と返戻金を確認したうえで、必要ならFP等にも相談して決めてください。貯蓄型保険そのものの中身は、こちらの記事でくわしく分解しています。)

子の成長とともに、必要な額は減っていく

もう一つ大事な視点があります。必要保障額は、時間とともに減っていく、ということです。子どもが小さいうちは、これから何年分もの教育費・生活費が必要ですが、子どもが成長し、独立が近づくほど、遺すべき金額は小さくなります。

この「だんだん減る」形にぴったり合うのが、収入保障保険です。死亡時に、満期まで毎月一定額を受け取る形の掛け捨て保険で、時間が経つほど総受取額が減る代わりに、保険料が割安。子育て世代の必要保障額の動きと、きれいに一致します。

見直すべきタイミング

保険は「入って終わり」ではありません。必要な額が変わる節目で、見直すのが正解です。結婚、出産、子どもの独立——そして、住宅の購入。持ち家を住宅ローンで買うと、多くの場合「団体信用生命保険(団信)」に入ります。これは、契約者が亡くなるとローンの残りがゼロになる保険です。つまり、団信に入っている人は、住居費という大きな出費が、すでに保障済み。その分、死亡保険は減らせます。

必要な人は、どこで選べばいい?

ここまで読んで「自分には必要だ」と思った人へ。保険料が割安なのは、店舗を持たないネット直販型です。定期保険・収入保障保険を、対面より安く用意できることが多い。代表的なところでは、ライフネット生命、SBI生命、チューリッヒ生命など。どれか一つが正解というより、自分の必要保障額を決めてから、複数社で見積もりを取って比べるのが、失敗しないやり方です。

なお、当ブログはこれらの会社と一切アフィリエイト契約をしていません(=売りたくて挙げているのではありません)。特定の1社を「ここがベスト」と言うつもりもありません。保険は人によって最適解が変わるので、まず必要額を計算し、そのうえで“割安な掛け捨て”という選択肢から、自分に合うものを選んでください。

まとめ|保険は「不安」ではなく「計算」で持つ

死亡保険の考え方を、もう一度だけ。まず、遺された家族に本当に足りない額を計算する。公的な遺族年金を、ちゃんと差し引く。必要な人は、掛け捨てで、必要な額だけを、必要な期間だけ持つ。貯蓄は、保険と分けて考える。これだけで、多くの人は保険料を減らせて、その分を貯蓄や生活にまわせます。保険は、不安の大きさで買うものではなく、計算で持つもの。まずは、自分の「足りない額」を、一度だけ計算してみてください。

※本記事は一般的な考え方の解説であり、特定商品の勧誘ではありません。筆者は保険・金融の専門家ではないため、最終判断はご自身で、必要に応じてFP等にご相談ください。遺族年金の金額・制度は改正されることがあるので、正確な情報は日本年金機構でご確認ください。

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@tk_fooddeli

フードデリバリー・Amazonフレックス・宅急便で5年以上稼働する現役配達員。軽トラで20万9,000kmを走り抜き、現在は軽スーパーハイトワゴンで稼働中。実体験ベースで、軽自動車稼働・維持費・お金の話を発信しています。

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