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「建て替えるから出てって」は断れる|立退料の本当の相場と、1円ももらえない人の条件

節約・お金
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ある日突然、大家さんや管理会社から「マンションを建て替えるので、退去してください」と言われたら——。多くの人は「言われたら出ていくしかない」と思ってしまいます。でも実は、法律は圧倒的に入居者の味方です。

一方で、ネットやSNSでは「立退料として家賃3年分を請求できる。普通に払ってもらえる」という景気のいい話も流れています。これは本当なのか。今回は「お金を守る」視点で、退去通告を受けたときの正しい知識と、立退料の本当の相場、そして1円ももらえない人の条件まで整理します。

■ 先に結論

  • 「建て替えるから出てって」は、断れる。家主は一方的に追い出せない
  • 家主都合の退去では、立退料の支払いが事実上必須になっている
  • 住居の立退料は「家賃6〜12か月分+引っ越し費用」が一つの目安。ただし金額に法律上の上限はなく、交渉次第で家賃3年分相当(数百万円)に達した実例もある
  • 定期借家契約や家賃滞納がある場合は、1円ももらえない。まず契約書の確認を

■ なぜ断れるのか——法律は入居者の味方

普通借家契約(一般的な賃貸契約)では、家主の側から契約を終わらせるには、借地借家法が定める「正当事由」が必要です。しかも通知は退去希望日の6か月以上前に行う必要があります。

ポイントは、「建て替えたい」だけでは正当事由として認められにくいことです。特に、家賃収入を増やしたい・土地を有効活用したいといった収益目的の建て替えは、正当事由にはほど遠いとされています。つまり、家主が「建て替えるから出て」と言ってきても、入居者には住み続ける権利があり、断ることができるのです。

■ それでも立ち退きが成立する理由——立退料という仕組み

では、なぜ現実には建て替えで退去が成立しているのか。それが「立退料」です。

正当事由が弱い場合、家主はお金(財産上の給付)でそれを補うことができる、と法律に書かれています。このため実務では、家主都合の立ち退きで立退料を支払うことが事実上必須になっています。

そして、立ち退きをめぐる争いのうち裁判まで行くのは3%程度と言われ、ほとんどは交渉段階の話し合いで決着しています。入居者が法律上強い立場にあることを家主側も分かっているので、「相応のお金を払って円満に出てもらう」のが現実の落としどころになっているわけです。

■ 立退料の本当の相場——「3年分」は狙えるのか

肝心の金額です。裁判例などから見た標準的な水準は、次のとおりです。

  • 住居(アパート・マンション):家賃の6〜12か月分程度(+引っ越し費用)
  • オフィス:賃料の2〜4年分程度
  • 店舗:賃料の5〜10年分程度

住居の立退料は「家賃6〜12か月分+引っ越し費用」が一つの目安とされています。ただしこれは下限寄りの目安です。立退料に法律上の上限はなく、金額は当事者の合意で決まるため、大家側の事情(建て替えを急いでいる、デベロッパーが事業利益から支払える、正当事由が弱い)と借主側の家賃水準によっては、家賃3年分相当に達することがあります。

実例として、転居先の家賃が月20万円クラスの住居で約700万円、月15万円クラスで約350万円で決着した話もあります(いずれも裁判ではなく交渉での合意)。

裁判になった場合の金額は、物件の状況・正当事由の強弱・家賃差額の補償の認定によって大きくばらつき、一律には言えません。むしろ大家側こそ裁判の時間とコストを避けたいため、実務では交渉で決まることが多く、それが高額での決着を生む余地になっています。

一方で「誰でも3年分もらえる」わけではありません。定期借家契約・家賃滞納・建物の危険性が高い場合は、1円ももらえないこともあります。この記事で問題にしたいのは「3年分」という数字そのものではなく、「普通に払ってもらえる」という言い方のほうです。

■ 1円ももらえない人の条件

ここが一番大事なところです。次に当てはまる場合、立退料はもらえません。

① 定期借家契約だった場合

契約書に「定期建物賃貸借」と書かれている場合、契約期間が満了すれば契約はそこで終了です。更新という概念がなく、正当事由も立退料も関係ありません。自分の契約が「普通借家」か「定期借家」か、まず契約書を確認してください。ここで天と地ほど結果が変わります。

ちなみに、この「定期借家だから守られない」という罠がいま多発しているのが、自宅を売ってそのまま住み続ける「リースバック」です。契約の約半数が定期借家で、数年後に退去を迫られるトラブルが相次いでいます。持ち家の方やご家族が勧誘を受けたら、こちらの記事も読んでみてください。

→ 「家を売っても住み続けられる」の罠|リースバックで相場の6割で買い取られ、数年後に追い出される人の話

② 家賃滞納などの契約違反がある場合

家賃の滞納や無断転貸などで契約を解除される場合は、入居者側に非があるため、立退料は発生しません。立退料の話は「家主都合の退去」が大前提です。

③ 建物の危険性が高いなど、正当事由が強い場合

耐震性に深刻な問題がある、災害で安全性に問題が露呈したなど、退去を求める理由が正当事由として強いケースでは、立退料なしで退去が認められたり、金額が相場より大きく下がったりします。

■ 「出てって」と言われたときの動き方 5ステップ

  1. その場で返事をしない。「持ち帰って検討します」でOK。口頭で「分かりました」と言ってしまうと、退去に合意したと扱われるリスクがあります
  2. 通知を書面でもらう。退去を求める理由・希望時期・条件を文書で出してもらいましょう。口約束は証拠に残りません
  3. 契約書を確認する。「普通借家」か「定期借家」か。これで自分の立場が決まります
  4. 引っ越しにかかるお金を全部書き出す。引っ越し代、新居の敷金・礼金・仲介手数料、家賃差額など。交渉はこの実費の積み上げが土台になります
  5. 無料の専門家相談を使う。自治体の無料法律相談や法テラスで、状況を伝えて助言をもらいましょう。弁護士名で交渉するだけで条件が変わることもあります

■ まとめ

  • 「建て替えるから出てって」は断れる。家主は正当事由なしに追い出せない
  • 家主都合の退去なら、立退料の支払いが事実上必須。争いの大半は交渉で決着する
  • 住居の立退料は「家賃6〜12か月分+引っ越し費用」が一つの目安。ただし金額に法律上の上限はなく、交渉次第で家賃3年分相当(数百万円)に達した実例もある
  • 定期借家・家賃滞納・建物の危険性が高い場合は、もらえない
  • 言われたら、即答せず・書面でもらい・契約書を確認し・実費を積算し・無料相談へ

退去通告は人生でそう何度もないからこそ、知識の差がそのままお金の差になります。「言われたら出るしかない」でも「3年分ふんだくれる」でもなく、法律と相場を知ったうえで、冷静に交渉する。それが一番、手元にお金が残る道です。

※本記事は借地借家法に関する一般的な情報をまとめたものであり、法的助言ではありません。立ち退きの可否や立退料は個別の事情によって大きく変わるため、実際に退去を求められた場合は、弁護士や自治体の無料法律相談、法テラスなどの専門窓口にご相談ください。

@tk_fooddeli

フードデリバリー・Amazonフレックス・宅急便で5年以上稼働する現役配達員。軽トラで20万9,000kmを走り抜き、現在は軽スーパーハイトワゴンで稼働中。実体験ベースで、軽自動車稼働・維持費・お金の話を発信しています。

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