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「プロが運用」の手数料は年1.6%、インデックスは0.1%——その差、回収できていますか?

節約・お金
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①「プロが運用するから安心です」

シリーズ第4回はアクティブファンドです。これまでの3回(貯蓄型保険外貨預金仕組預金/仕組債)と違って、アクティブファンド自体はまっとうな投資信託で、詐欺的な仕掛けはありません。だからこそ、今回の話は純粋に数字の比較だけで決着がつきます。

投資信託には大きく2種類あります。日経平均やS&P500のような市場平均(インデックス)への連動を目指すインデックスファンドと、プロのファンドマネージャーが銘柄を選び、市場平均を上回ることを目指すアクティブファンド

窓口で勧められるのは、たいてい後者です。売り文句は「プロが調査して厳選した銘柄に投資します」。なるほど、頼もしい。ではシリーズ恒例の問いです——そのプロの手数料は年いくらで、その手数料ぶん、ちゃんと勝ててるんですか?

今回は、料金表と成績表の両方が公開されています。順番に開けます。

②料金表を開ける——0.1% vs 1.6%

投資信託を持っている間、毎日少しずつ差し引かれ続ける手数料が信託報酬です。

  • インデックスファンド:日経平均・TOPIX連動型の平均で年0.7%。ただし現在の主力商品——全世界株式(オルカン)やS&P500連動の低コストシリーズ——は年0.1%以下まで下がっています
  • アクティブファンド:平均で年1.6%。銘柄調査の人件費が乗り、売買を繰り返すファンドは売買コストも乗り、さらに購入時の販売手数料も高い傾向があります

実際の選択肢ベースで比べると、0.1% vs 1.6%——16倍差です。

「年1.5%の差なんて誤差では?」と思うかもしれません。複利は、この油断を見逃しません。単純化した自前の試算ですが、運用そのものの成績が年5%で全く同じだったとして、手数料控除後は年4.9% vs 年3.4%。100万円を30年置くと——

  • インデックス(実質4.9%):約420万円
  • アクティブ(実質3.4%):約273万円

同じ運用成績でも、手数料の差だけで約150万円消えます。これが「毎日少しずつ」の正体です。プロの腕がこの150万円を上回って初めて、アクティブを選んだ意味が生まれる。では、上回れているのか。成績表を見ます。

③成績表を開ける——8割が市場平均に負けている

アクティブファンドがインデックス(市場平均)に勝てたかどうかは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が年2回公表しているSPIVAスコアカードという公式記録で、誰でも確認できます。最新の2025年末版の結果がこちらです。

  • 日本の大型株ファンド:10年で83.4%、15年で80.4%が市場平均に負け
  • グローバル株式・国際株式・新興国株式のファンド:10年・15年の期間で100%——調査対象の全ファンドが市場平均に負け

8割どころか、海外株に投資するアクティブファンドは長期では全滅です。「プロが厳選」の結果が、何も選ばず市場全体を丸ごと買っただけのインデックスに届かない。これが一発の不運ではなく、毎年・どの期間で切っても繰り返し観測されている、ということがSPIVAの肝です。

もうひとつ、あまり語られない数字を。2009年の時点で存在したファンドのうち、15年後まで生き残ったのは46%。半数以上が、成績不振や資金流出で途中償還・統合されて消えています。「勝てるファンドを当てる」以前に、「15年後もまだ存在しているファンドを当てる」段階で半分が脱落するゲームなんです。

④なぜ勝てないのか——腕ではなく、算数の問題

「日本のファンドマネージャーが無能なのか」と思った方、違います。これは腕の問題ではなく構造の問題です。

市場平均(インデックス)とは何か。それは、プロも個人も含めた市場参加者全員の成績の平均です。誰かが平均を上回れば、必ず誰かが平均を下回る。プロ同士が削り合う市場では、コスト控除前の成績は、全体としてほぼ市場平均に収束します。

そこから、インデックスは年0.1%を引く。アクティブは年1.6%を引く。スタートが同じ平均なら、多く引かれる側の多数派が平均を下回るのは、算数の帰結です。ファンドマネージャーが優秀かどうかという話の、もっと手前で勝負がついている。

シリーズで毎回書いてきた原則がここでも生きています。貯蓄型保険は経費を保険料に溶かし、外貨預金は手数料をレートに溶かし、仕組商品はリスクを複雑さに溶かしていました。アクティブファンドの信託報酬は、それらに比べればちゃんと開示されている分だけ良心的です。ただし「毎日少しずつ」という形で痛みを溶かしている——年1.6%と一括で請求されたら誰もが考え直す金額を、日割りにして意識から消している点は、同じ文法の上にあります。

⑤「勝てるファンドを選べばいい」が宝くじな理由

ここで必ず出る反論が「平均の話でしょ? 勝っている2割を選べばいい」です。理屈はその通り。問題は、それを事前に当てる方法がないことです。

  • 過去の好成績は続かない。直近で勝ったファンドが次の期間も勝ち続ける保証はなく、むしろ入れ替わりが激しいことが繰り返し観測されています
  • 生存バイアス。今あなたに見えている「成績の良いファンド一覧」は、すでに半数以上が脱落した後の生き残りリストです。負けて消えたファンドは一覧に載りません
  • 選ぶコストは誰も返してくれない。仮に外したら、年1.6%を払いながら市場平均に置いていかれる——その差額を補償してくれる人はいません

10年単位で勝ち続けるファンドが存在しないとは言いません。存在します。ただ、それを事前に特定する作業は、当たりくじを事前に特定する作業に近い。そして外れた場合のコストは、確実にあなた持ちです。

⑥じゃあどうするか——土台はインデックス、買うなら1分ルールで

結論はシンプルです。

  • 資産形成の土台は、低コストのインデックスファンド。年0.1%以下の全世界株式や米国株式インデックスは、NISAの非課税枠とも相性が良く、「市場平均に確実に乗る」という、実は8割のプロが達成できなかった成績を最低コストで手に入れられます
  • それでもアクティブを買いたいなら、第3回で書いた1分ルールの出番です——「このファンドが、年1.5%のコスト差を今後も上回り続けると考える根拠」を1分で人に説明できますか? 「銀行で勧められたから」「最近成績がいいから」は根拠になりません(③で見た通りです)
  • 公平のために書いておくと、日本の中小型株のような情報の行き渡りにくい市場では、アクティブが比較的健闘しているというデータもあります。アクティブ運用そのものが悪なのではなく、コストに見合うかをデータで確かめずに「プロだから」で買うことが問題なんです

すでに保有している人へ。慌てて売る必要はありませんが、一度だけ確認を——目論見書で信託報酬を見て、同じ投資対象のインデックスファンドと過去の成績を並べてみてください。数字を見た上で持ち続けるなら、それはあなたの判断です。数字を見ずに持ち続けているなら、それは判断ではなく放置です。

まとめ:プロに払う前に、成績表を見る

  • 信託報酬はインデックス0.1%以下 vs アクティブ平均1.6%。年1.5%の差は30年複利で約150万円(100万円・年5%の自前試算)
  • SPIVA最新版で、日本大型株の8割、海外株系は100%のアクティブファンドが長期で市場平均に負け。さらに15年でファンドの半数以上が消滅
  • 負ける理由は腕ではなく算数——全員の平均から多くコストを引けば、多数派は平均を下回る
  • 勝つ2割を事前に当てる方法はない。外れたときのコストは全額あなた持ち
  • 土台は低コストインデックス。アクティブを買うなら「コスト差を上回り続ける根拠を1分で説明できるか

「プロが運用します」は嘘ではありません。プロは本当に運用しています。ただ、その成績は公開されていて、手数料も公開されていて、両方を並べると——8割の場合、何もしないで市場平均に乗った人が勝っている。売り文句ではなく成績表で選ぶ。それだけで、この毒は避けられます。

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