先日、いつものガソリンスタンドで、ついでにタイヤの空気圧を見てもらいました。そのときのやり取りが、けっこう自分に刺さったので書いておきます。
私「どんな感じでしたか?」
店員さん「だいぶ減ってましたね。このままだと、タイヤの接地面が増えて、外側の両端がすり減るスピードが上がります。最低でも月1はチェックしてください」
私「あ〜、なるほど! わかりました。月初めにチェックするようにします」
その場では「へぇ」くらいの感覚だったのですが、家に帰って調べてみて、これは Uber Eats の配達パートナーにとってかなり大事な話だと気づきました。空気圧を放置していると、タイヤの寿命が縮むだけでなく、ガソリン代が目に見えて増えるのです。しかも私のように毎日長距離を走る配達パートナーは、その損が一般のドライバーよりずっと大きくなります。
空気圧が減ると、なぜ損をするのか
タイヤの空気は、パンクしていなくても自然に抜けていきます。日本自動車タイヤ協会によると、乗用車のタイヤはひと月に約5%ずつ空気が抜けるとされています。つまり、何もしなくても数ヶ月放置すれば、20〜30%は簡単に不足してしまう計算です。(出典:JAF Mate『ガソリン代にも直接影響! 気にしてますか? タイヤの空気圧』)
空気圧が不足すると、タイヤが潰れた状態になり、路面との接地面が広がります。すると「転がり抵抗」が大きくなり、車を進めるのに余計な力=余計なガソリンが必要になります。これが燃費悪化の正体です。
JAFの実験では、はっきりした数字が出ています。
- 空気圧が適正から30%不足すると、燃費が約4.6%悪化
- 60%不足では、約12.3%も悪化
この数字は、JAF が2021年10月に行ったユーザーテストの結果です。適正な空気圧で平均燃費13.0km/Lだった車が、30%減では12.4km/L、60%減では11.4km/Lまで落ちました(『【燃費向上】ガソリン価格高騰の中、まずタイヤの空気圧をチェックすべき理由とは?』)。同じテストでは、年間15,000km走る車(ガソリン1Lあたり165円)の場合、空気圧30%減で年9,240円、60%減で年26,730円の燃料費が余計にかかると試算されています。
さらに、店員さんの言っていた「外側の両端が減る」もそのとおりで、空気圧不足だとタイヤのショルダー部分(両肩)だけが偏って摩耗する「両肩べり」が起きます。タイヤ全体はまだ使えるのに、両端だけ先に寿命が来て、早く交換する羽目になる。これも余計な出費です。タイヤの減り方については、5年稼働で分かったタイヤの減り方とローテーション戦略にも詳しく書いています。
Uber Eats の配達パートナーだと、損はこれくらいになる
ここからが、私たち配達パートナーにとって切実な話です。
一般のドライバー向けの記事では「リッターあたり4〜7円の損」といった書き方がよくされます。でも配達パートナーは走行距離が桁違いなので、この差がそのまま大きな金額になります。
私の場合、ガソリン代は年間でだいたい75万円ほどかかっています。毎日走る仕事なので、これくらいの規模になります。この数字に、さっきのJAFの燃費悪化率を当てはめると——
- 空気圧30%不足(燃費4.6%悪化)のまま走ると… 年間で約3万4千円の損
- 空気圧60%不足(燃費12.3%悪化)まで放置すると… 年間で約9万2千円の損
一般的な車なら年9千円ほどの話でも、ガソリン代が年75万円かかる私の走り方だと、同じ30%不足で年3万円を超えます。走る距離が長い人ほど、空気圧の差がそのまま財布に響きます。
3万円あれば、けっこうな日数のガソリン代になります。9万円ともなれば、丸1週間以上フルで走って稼ぐ額です。それが「空気を入れていないだけ」で消えていく。しかも空気は月5%ずつ抜けるので、半年チェックしなければ30%不足に届いてしまう。放置は、静かにお金を燃やしているのと同じでした。
これに、両肩べりで縮むタイヤ寿命(=早めの交換代)も加わります。タイヤ代も配達パートナーにとっては大きな出費なので、空気圧管理はガソリン代とタイヤ代の両方に効く、ということです。車の維持費全体をどう抑えるかは、車種別維持費完全比較でもまとめています。
命にも関わる、という話
お金の話ばかりしてきましたが、空気圧不足は安全にも直結します。
空気圧が低いままだと、タイヤの側面が過度にたわんで内部の温度が上がり、最悪の場合バースト(破裂)を起こします。Uber Eats の配達中は荷物を積んで、時間に追われて走ることも多い。高速や幹線道路でタイヤが破裂したら、大事故につながりかねません。
日本自動車タイヤ協会が高速道路のSAで実施した調査では、乗用車121台のうち半分の60台に整備不良があり、そのほとんどが空気圧不足だったそうです。つまり、多くの人が気づかないまま危ない状態で走っている。人ごとではないと思いました。(出典:JAF Mate『ガソリン代にも直接影響! 気にしてますか? タイヤの空気圧』)
私がやることにした習慣:月初めに1回
対策はシンプルで、店員さんの言うとおり月に1回、空気圧をチェックするだけです。
空気は月に約5%ずつ抜けるので、月に1回入れ直していれば、不足はだいたい5%以内に収まります。30%不足まで放置して損をする状態には、まずなりません。
私は「月初めにチェックする」と決めました。月をまたぐタイミングなら忘れにくいし、ちょうど売上の集計をする時期とも重なるので、習慣にしやすいと思ったからです。
チェックの仕方も難しくありません。
- ガソリンスタンドで給油のついでに「空気圧見てください」と頼めば、たいていやってくれる(無料のところが多い)
- セルフのスタンドなら、空気充填機が置いてあるので自分でもできる
- 適正な空気圧の数値は、運転席側のドアの内側(開けたところの枠)や、給油口のフタの裏に書いてある
空気圧は見た目では正確に分かりません。だいぶ減っていても、パッと見では気づきにくい。だからこそ、目視ではなく、月1で必ず測るのが大事だと学びました。
まとめ
- タイヤの空気は、パンクしていなくても月5%ずつ自然に抜ける。
- 空気圧が不足すると燃費が悪化し(30%不足で約4.6%、60%不足で約12.3%)、両肩べりでタイヤ寿命も縮む。
- 毎日走る配達パートナーだと、放置で年3万〜9万円のガソリン代を損する計算になる。
- 空気圧不足はバーストの危険もあり、安全にも直結する。
- 対策は「月1回チェックするだけ」。私は月初めにやることにした。
ガソリンスタンドの店員さんの何気ない一言でしたが、調べてみたら、配達パートナーにとってこれほど大きな話だとは思いませんでした。走ってナンボの仕事だからこそ、足元のタイヤをちゃんと見てあげる。それだけで、稼いだお金を無駄に燃やさずに済みます。
なお、燃費や損失額はあくまで私の走行量をもとにした試算で、車種や走り方によって変わります。適正な空気圧やタイヤの状態に不安があるときは、ガソリンスタンドや整備工場で見てもらうのが確実です。

