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良い投資商品ほど、広告には出てこない——「広告で見た投資商品」を疑う理由

節約・お金
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①「毎月1万円で不動産投資」——でも、S&P500の広告は見ない

シリーズ第13回は、特定の商品ではありません。「広告に載っている」という事実そのものを開けます。

テレビCM、電車の中吊り、YouTubeの合間、SNSのタイムライン。投資の広告は、毎日のように目に入ります。「毎月1万円で不動産投資」「今だけの高利回り」「ほったらかしで資産形成」。どれも手軽で、魅力的に見えます。

一方で、ひとつ思い出してみてください。S&P500や全世界株式に連動する、低コストのインデックスファンド——資産形成の王道としてよく挙がるこの種の商品の、派手な広告を、あなたは見たことがあるでしょうか。ほとんど、ないはずです。同じ「投資商品」なのに、なぜ一方は派手に宣伝され、もう一方は宣伝されないのか。ここに、見抜くためのヒントが丸ごと詰まっています。

②開ける——広告費は、巡り巡って買う人が払っている

まず、当たり前の事実から。広告はタダではありません。 テレビCMも、ネット広告も、電車広告も、莫大な費用がかかります。では、その広告費はどこから出るのか。

出どころは、突き詰めると2つです。ひとつ、商品の手数料・コストに乗っている(=買う人が間接的に負担している)。ふたつ、そもそも利幅が大きい商品だから、広告費を出す余裕がある

どちらにしても、結論は同じです。派手に広告を打てる商品とは、それだけ“抜ける”(コストの厚い)商品だということ。あなたが目にしたその広告の費用は、巡り巡って、その商品を買った人(あるいはこれから買うあなた)が払っています。広告がきらびやかなほど、その裏で誰かが手数料を払っている、と考えた方が現実に近いのです。

③なぜ“良い商品”は、広告に出てこないのか

では逆に、低コストのインデックスファンドはどうか。

この種の商品は、信託報酬(保有中ずっとかかるコスト)が年0.1%前後と、極めて薄利です。運用会社の取り分が小さいので、派手な広告を打つ予算などありません。そして——ここが大事ですが——打つ必要もない。なぜなら、コストと中身を自分で調べた人が、宣伝されなくても自分で選ぶからです。

良いものは、黙っていても選ばれる。 逆に言えば、広告を打たないと売れない商品は、「自分からは選ばれにくい商品」だということ。本当に中身が良ければ、わざわざ大金をかけて押し売りする必要はないはずなのです。「毎月1万円で不動産投資」のような甘いコピーは、中身やコストを考えさせず、手軽さと夢で釣るための言葉。考えさせないことこそが、その広告の仕事です。

④公的な裏付け——国は「広告の派手さ」ではなく「コスト」で選んでいる

「良い商品は合理で選ばれる」を、制度として示しているのが新NISAのつみたて投資枠です。

つみたて投資枠で買える商品は、金融庁に届け出された、長期・積立・分散投資に適した投資信託だけに限定されています。その基準には、販売手数料がゼロ(ノーロード)であること、信託報酬が一定以下の低水準であること、分配頻度が毎月でないこと、(ヘッジ目的などを除き)デリバティブ運用を行っていないことなどが含まれます。

つまり、長期の資産形成に向く商品を、国は「広告の派手さ」ではなく「コストと中身の基準」で選別しているのです。そして、この基準を裏返すと——毎月分配型や、販売手数料の高い商品、複雑なデリバティブ商品は、ここから外れている。派手に広告される商品ほど、この“国のふるい”に引っかからない側にいることが多い、というわけです。

⑤このシリーズ全体の、最初のふるい

ここで、第3回からの1分ルール——「仕組みを1分で説明できない商品は買わない」——を、広告に当ててみます。広告のキャッチコピー(毎月1万円・高利回り・節税・ほったらかし)は、仕組みもコストも1分で説明していません。むしろ「考えなくていい」「手軽」という、思考停止そのものを売っています。

そして、振り返ってみてください。このシリーズでこれまで開けてきた商品——仕組債、毎月分配型、ファンドラップ、バイナリーオプション、ソーシャルレンディング、サブリース、ワンルームマンション、相続税対策のアパート。その共通項は何だったか。ほぼ全部、広告や営業で派手に勧められる商品でした。一方、地味なインデックス投資を、私は一度も槍玉に挙げていません。

つまり、「広告・営業で熱心に勧められているか」は、それ自体が最初のふるいになります。熱心に勧められたら、まず一歩下がる。それだけで、危ない商品の多くを入り口で避けられます。

⑥じゃあどうするか——「売られる」のではなく、「買いに行く」

まず、広告で知った投資商品は、それだけで一段警戒する。広告のキャッチコピーではなく、コスト(手数料)と仕組みで判断する。「いくら儲かりそうか」より先に、「保有中、毎年いくら抜かれるのか」を見る。これだけで、見え方が変わります。

そして、いちばん大事な姿勢の話。良い投資商品は、「売られる」ものではなく、「自分から買いに行く」ものです。 インデックスファンドは、向こうから電話もSNS広告も来ません。自分で証券口座を開いて、自分で選ぶ。新NISAのつみたて投資枠の対象商品は、④で見たとおり、国がコスト基準で絞った候補です。広告や営業に背中を押されて始めるのではなく、自分で調べて、自分のタイミングで、自分から動く

なお、私は特定の商品を「買え」と言っているのではありません。投資にはリスクがあり、何を選ぶかは最終的にあなた自身の判断です。私が言いたいのはひとつだけ。「派手に勧められたもの」ではなく「自分で選んだもの」を持つ。その順番を、守ってください。

まとめ:広告のきらびやかさは、警告灯

  • 広告はタダではない。その費用は商品の手数料に乗っているか、利幅の大きい商品だから出せる。派手に広告できる=それだけコストの厚い商品
  • 良い商品(低コストのインデックスファンド等)は、広告に出てこない。薄利で予算がなく、宣伝しなくても選ばれるから。広告を打たないと売れない=本来選ばれにくい商品
  • 国も同じ。新NISAのつみたて投資枠は、金融庁が「販売手数料ゼロ・信託報酬低水準・毎月分配でない」等の基準で選別。広告の派手さでは選んでいない
  • このシリーズで開けてきた商品の共通項は、ほぼ全部「広告・営業で派手に勧められるもの」。勧誘の熱心さ自体が、最初のふるい
  • 防御は、広告のコピーでなくコストと仕組みで判断し、「売られる」のではなく「自分から買いに行く」こと

このシリーズで、私はずっと「中身を開けて値札を見よう」と書いてきました。今回開けたのは、商品ではなく広告そのものです。きらびやかな広告は、ご褒美ではなく警告灯だと思ってください。本当に良いものは、あなたが探しに行かないと出会えない。静かにそこにある低コストの選択肢を、自分の足で見つけにいく。それだけで、この罠は避けられます。

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