数年前まで、私は食品工場のライン作業をしていました。
勤務は3交代制。しかも非常に不規則なシフトで、特に夜勤明けの昼間は、まったくと言っていいほど眠れませんでした。
今は、Uber Eats の配達を仕事にしています。毎朝9時ごろ、窓から差す太陽の光で自然に目が覚めます。アラームはかけていません。
この記事では、あの頃の私がどんな状態だったのか、そして働き方を変えて何が変わったのかを、正直に書いておきます。同じように「眠れない」「職場がしんどい」と感じている人に、ひとつの選択肢として届けばうれしいです。
3交代制の頃、私の体に起きていたこと
夜勤明けに、とにかく眠れない
人の体には、約24時間周期で睡眠や体温、ホルモンの分泌を整える「体内時計」があります。眠りを促すホルモンのメラトニンは、夜の暗さの中で分泌され、光を浴びると抑えられます。
3交代制で勤務時間がころころ変わると、この体内時計が合わせる先を見失います。夜勤明けに明るい昼間に眠ろうとしても、体はまだ「起きている時間」だと思っている。自律神経も休むモードに切り替わらず、布団に入っても頭が冴えたままでした。
夜中に、トイレで何度も起きる
やっと眠れても、夜中にトイレで目が覚めます。多いときは一晩で4回。これでは、ぐっすり眠れるわけがありません。
当時、「夜中のトイレの回数が多いと、死亡リスクが上がる」という話を目にした記憶がありました。調べ直してみると、11の研究をまとめた分析で、夜間にトイレで2回以上起きる人は、そうでない人に比べて死亡リスクが約1.3倍になるという結果が報告されていました(Pesonenら、2020年)。
ただし、これは「トイレで起きること自体が命を縮める」という意味ではありません。研究者自身も、夜間頻尿が死亡の直接の原因であるという根拠は非常に弱いと評価しています。夜間頻尿の背景には、高血圧や糖尿病、睡眠時無呼吸などが隠れていることがある。だからこそ、回数が多い状態が続くなら体からのサインとして受け止めたほうがいい、という話です。
アラームで起きるたびに、ひどい動悸
いちばんつらかったのは、アラームで起きた瞬間の動悸でした。心臓がバクバクして、大げさではなく「このままだと死ぬんじゃないか」と感じるほどでした。
「アラームで起きると体に悪い」という話も、当時どこかで見た記憶があります。調べ直してみると、アメリカのバージニア大学の研究がありました。32人の大人に、自然に目覚める日と、5時間眠ったところでスマホのアラームで起こされる日を経験してもらい、朝の血圧の上がり方を比べたものです。その結果、アラームで起こされた日は、朝の血圧の上がり幅が自然に目覚めた日より74%大きかったそうです(Kimら、2024年)。
朝の急な血圧上昇は、脳卒中や心筋梗塞のリスク要因のひとつとされています。ただし、この研究は32人を対象にした予備的なもので、差の大きさは2.38mmHgとわずかでした。研究者自身も、もっと多くの人で確かめる必要があるとしています。「アラームで死亡リスクが上がる」とまで言える研究は、見つけられませんでした。
もうひとつ、起き方と体の関係を調べた研究があります。ドイツの研究チームが行った実験では、「◯時に起きる」と分かっていた人は、起きる1時間ほど前から、目覚めに関わるホルモン(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌が自然に上がり始めていました(Bornら、1999年)。反対に、予定より早く突然起こされた人は、起こされた瞬間にそのホルモンが一気に跳ね上がっていたそうです。体の準備ができていないところを、無理やり起こされている。あの動悸は、そういうことだったのかもしれません。
体だけでなく、心もすり減っていた
手取り15万円、年下からの呼び捨て
当時の手取りは15万円ほど。職場では、年下の同僚から呼び捨てにされていました。
給料が低いことそのものより、人として雑に扱われている感覚のほうが、じわじわ効いてきました。
1日1個ずつ増えていくルール
もうひとつきつかったのが、次々に増えていくルールです。
「ポケットに手を入れて歩いてはいけません(それで転倒した人がいたそうです)」「くるぶし丈の靴下は履いてはいけません」「T字路では『右よし、左よし』と声に出して指差し確認すること(人同士がぶつかったそうです)」
安全のためなのは分かります。でも、何かあるたびにルールが1個ずつ足されていくと、「ここは幼稚園か」と思わずにはいられませんでした。
眠れない体に、こうした毎日の小さなストレスが積み重なって、私の場合は限界が来ました。だから、早めに辞めました。
職場の人間関係そのものから離れたい人は、人と関わらない仕事で稼げる?40代・50代からでも始められる Uber Eats の配達という選択肢も参考にしてください。
Uber Eats の配達に変えて、変わったこと
朝日で目覚めて、動悸がなくなった
今は、毎朝9時ごろに窓から差す太陽の光で目が覚めます。アラームは使っていません。あの起きた瞬間の動悸は、なくなりました。
朝の光を浴びることは、体内時計をリセットする合図になると言われています。毎日同じような時間に、光で目覚める。それだけで、体のリズムが戻ってきた実感があります。
夜中のトイレは、1回以下になった
一晩に最高4回起きていたトイレは、今は1回以下です。朝まで眠れる日がほとんどになりました。
呼び捨てにされない、しょうもないルールもない
Uber Eats には、上司も先輩もいません。呼び捨てにされることもありません。Uberの運営から届く連絡は「◯◯◯◯様」。最初にそれを見たとき、正直、溜飲が下がりました。
ポケットや靴下の丈を注意されることもありません。
もちろん、Uber Eats にもルールはあります。商品を丁寧に扱う、配達先の指示を守る、交通ルールを守る。お客さんからの評価もあります。ただ、それはどれも「仕事の中身」についてのルールです。人間関係の中で増えていくルールとは、しんどさの種類がまったく違いました。
ただし、正直に書いておきたいこと
いいことばかり書いてきましたが、Uber Eats の配達にも向き不向きがあります。
収入は固定給ではなく、エリアや時間帯、天候、働いた量で変わります。車の維持費やガソリン代も自分持ちです。会社員のような保障もありません。人間関係のストレスが消えるかわりに、収入の波とは自分で向き合うことになります。
それと、私の睡眠が良くなったのは、あくまで私の場合の話です。眠れない状態が長く続いている人、夜中のトイレが多い人、起きたときの動悸がつらい人は、働き方を考える前に、一度医療機関で相談してみてください。睡眠の不調の裏に、別の病気が隠れていることもあります。
こんな人には、選択肢として知っておいてほしい
- 交代勤務や夜勤で、生活リズムがぐちゃぐちゃになっている
- 職場の人間関係や、増え続けるルールに消耗している
- 「人に気をつかうより、自分のペースで黙々と働きたい」と思っている
すぐに辞めなくてもかまいません。「こういう働き方もある」と知っておくだけで、今の職場で踏ん張るときの気持ちも少し変わると思います。
残業や通勤が奪っているものについては、「残業と通勤が奪うもの、Uber Eats の配達が取り戻すもの」にまとめています。
人間関係に縛られないUber Eats の配達パートナーという働き方や、始め方については、「Uber Eats(ウーバーイーツ)の始め方|軽自動車で配達パートナーに登録するまでの7ステップ」でくわしく書いています。
まとめ
3交代制の頃の私は、眠れない体と、すり減る心の両方を抱えていました。
働き方を変えた今は、朝日で目覚めて、夜中にほとんど起きずに眠れています。呼び捨ても、しょうもないルールもありません。
眠れない原因が、職場のリズムやストレスにあるのなら、働き方そのものを変えるという選択肢もあります。私にとっては、それがUber Eats でした。
参考にした情報
- Pesonen JS, et al. The Impact of Nocturia on Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Urol. 2020;203:486-495.
- Kim Y, et al. The impact of forced awakening on morning blood pressure surge. Heart & Lung. 2024.
- Born J, et al. Timing the end of nocturnal sleep. Nature. 1999;397:29-30.
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「概日リズム睡眠・覚醒障害」

