先に、いちばん大事なことだけ書いておきます。
私は数年前、複数の借金を抱えて返済が回らなくなり、司法書士に依頼して任意整理をしました。そして先日、3年ほどかけて完済しました。
この記事は、「債務整理っておすすめ!」という話でも、特定の事務所への誘導でもありません。実際にやってみて、毎月いくら払って、どこがしんどくて、完済したときに何が起きたのか——やった人間にしか書けないところを、できるだけ正直に書きます。これから債務整理を考えている人が、事前に「実際こうなるのか」を知る材料になればと思います。
あわせて、私はウーバーイーツの配達パートナーとして働いています。この返済の原資は、ウーバーイーツで作りました。その話も後半で触れます。
なお私は法律の専門家ではありません。制度の細かい部分や自分のケースの正確な扱いは、必ず司法書士・弁護士に確認してください。この記事はあくまで一個人の体験の記録です。
そもそも任意整理とは(私が理解した範囲で)
任意整理は、債務整理の中ではいちばん軽い部類の手続きです。裁判所を通さず、専門家(司法書士や弁護士)が債権者と直接交渉して、将来の利息をカットしてもらい、残った元本を分割で返していく——ざっくり言うとそういう仕組みです。
自己破産のように財産を手放す必要はなく、個人再生のように裁判所の手続きも要りません。その代わり、元本そのものは基本的に返します。「借金が消える」わけではなく、「利息が止まって、元本を無理のない分割で返せるようになる」——これが私の受けた印象です。
私の場合は、大手消費者金融2社と、カード会社1社、合わせて3社が対象でした。会社名は伏せますが、名前を聞けば誰でも知っているような、ごく一般的なところです。
任意整理の体験談——司法書士に依頼したら、私は「入金するだけ」だった
依頼してからの流れは、拍子抜けするくらいシンプルでした。
司法書士と契約すると、まず専門家が各社に「受任通知」というものを送ります。これが届いた時点で、債権者からの取り立て・督促がいったん止まります。私にとっては、これがいちばん大きかった。督促の連絡に怯える日々から解放されるだけで、精神的にかなり楽になりました。
そこから先、私がやることは毎月、指定された口座に決まった額を入金する、それだけです。私が入れたお金を、司法書士が各債権者へ振り分けて振り込んでくれる。私が直接、消費者金融やカード会社とやり取りすることは一度もありませんでした。
私の場合、毎月の入金額は45,000円でした(時期によって多少の増減はありました)。この45,000円を、ただ毎月きらさずに入れ続ける。やることは本当にそれだけです。
3年間で払った総額——振込手数料だけで約11万円
ここが、いちばん書きたかったところです。きれいごと抜きの実額を出します。
私の手元には、司法書士事務所が作ってくれた入出金の記録が残っています。それを集計すると、こうなりました。
- 3社への弁済(返済)の合計:約120万円
- 毎月の振込にかかった手数料の合計:約11万円
- 私が返済に充てた総額:約131万円
返済期間は約3年。毎月45,000円を、35回前後にわたって入れ続けた計算です。3社を一気にではなく、元本の小さいところから1社ずつ順番に消していく形で、最終的に全社を完済しました。
注意してほしいのは、上の金額は「債権者への返済」と「振込手数料」の合計だということです。司法書士への報酬(着手金など)は、これとは別にかかっています。報酬の金額は契約内容によって変わるので、ここでは具体額は書きません。依頼するときは、この「専門家への報酬」がいくらになるかを、契約前に必ず確認してください。ここを見落とすと、想定より総額が膨らみます。
任意整理してよかった?後悔は?——やる前に知っておきたかった3つのこと
任意整理したこと自体は、後悔していません。督促が止まり、毎月決まった額を入れ続ければ確実に終わりに近づく。やってよかったと思っています。ただ、やる前に知っておきたかったことが3つあります。
振込手数料は、地味に効いてくる。毎月、各社へ振り込むたびに手数料がかかります。1回あたりは数百円〜数千円でも、3年・のべ100回以上積み重なると、私の場合は11万円になりました。返済が進んで振込先が減ると手数料も下がっていくので、後半は軽くなります。でも「元本+利息カット後の返済」以外に、こういうコストも乗るということは、知っておいて損はないです。
毎月きらさない、がすべて。任意整理は、決めた額を毎月きちんと入れ続けることが前提です。これが滞ると、和解した条件が白紙に戻る(=一括請求される)リスクがあります。逆に言えば、毎月の入金さえ続けられれば、確実にゴールに近づく。派手なことは何もない、ただの積み重ねです。
信用情報には記録が残る。これは正直に書いておきます。任意整理をすると、いわゆる「信用情報」に事故情報として記録が残り、一定期間はクレジットカードの新規作成やローンが難しくなります。この期間や扱いは制度で決まっているので、正確なところは司法書士に確認してください。私自身、この点は依頼前にきちんと説明を受けました。「借金が軽くなる代わりに、しばらくは信用の面で制約がある」——これはセットで理解しておくべきです。
完済時に起きたこと——「戻ってくる」と思っていた預り金
完済間際に、ちょっとした勘違いをしました。
私は毎月45,000円を入れていましたが、実際の月々の弁済額はそれより少し少なかった。その差額が口座に積み上がっていて、完済間際にはそれなりの残高になっていました。私は「これは払いすぎた分だから、完済したら戻ってくるんだろう」と思っていました。
でも、司法書士に確認したら違いました。その残高は「余り」ではなく、最後の返済に充てられるお金だったんです。積み上がっていた預り金は、まるごと最終回の完済に回されて、私への返金はありませんでした。
これは私の早合点でした。ただ、教訓として書いておきます。完済間際の残高を「戻ってくるお金」と当てにして、使う予定を立ててはいけない。実際にいくら精算されるか(あるいはされないか)は、専門家に確認して、書面で確定してから判断すべきです。私は当てにして使う前に確認したので事なきを得ましたが、先に使っていたら計算が狂うところでした。
借金返済の原資は、ウーバーイーツで作った
ここからが、ウーバーイーツの配達パートナーとしての私の話です。
3年間、毎月45,000円を入れ続ける。言うのは簡単ですが、これを切らさないためには、毎月確実に入ってくる収入が要ります。私はその原資を、ウーバーイーツの配達で作りました。
なぜウーバーイーツの配達だったか。理由はシンプルです。
始めるのに、面接も履歴書もいらない。借金を抱えている状況で、履歴書を出して面接を受けて…という就活は、精神的にもハードルが高い。ウーバーイーツの配達なら、アプリでの登録と必要な手続きが済めば始められます。
稼いだ分が、短いサイクルで自分の口座に入る。週単位で売上が振り込まれるので、毎月の入金に合わせて計画が立てやすい。「今月の45,000円は稼げている」と、目に見えて確認しながら進められました。
自分のペースで積み増せる。返済で余裕がない月は少し多めに走る、という調整が自分の裁量でできる。シフトに縛られず、稼働量を自分で決められるのは、返済生活と相性が良かったです。
私は軽自動車(黒ナンバー)で稼働していますが、自転車やバイクでも始められます。特別なスキルはいりません。必要なのは、車やバイクを運転できることと、アプリを操作できること。それだけです。
もちろん、ウーバーイーツの配達だけがすべてではありません。ただ「借金を返すための、始めやすい収入源」を探している人にとって、フードデリバリーは選択肢の一つになると思います。少なくとも私は、これで3年分の返済を回しきりました。
ウーバーイーツの始め方は、こちらの記事で詳しくまとめています。
これから任意整理を考えている人へ
最後に、やってみた人間として伝えたいことを、正直に。
取り立てが止まるだけで、生活は変わる。督促に追われている状態は、想像以上に人を消耗させます。受任通知でそれが止まるだけで、冷静に立て直しを考えられるようになりました。
でも、借金がチャラになるわけではない。任意整理は元本を返します。利息が止まって返しやすくなるだけです。「魔法のように消える」ものではないし、信用情報への影響もある。ここを誤解したまま始めると、あとで「こんなはずじゃなかった」となります。
費用の全体像を、契約前に必ず確認する。弁済額だけでなく、振込手数料、そして司法書士への報酬。この総額を把握してから始めてください。
そして、返済を回す収入源を確保しておく。毎月きらさず入金できることが、任意整理の生命線です。私はそれをウーバーイーツの配達で作りました。あなたに合った方法で、確実な原資を用意しておくことを強くすすめます。
3年間、地味に積み重ねて、私は完済しました。派手な逆転劇は何もありません。ただ、毎月きちんと入れ続けたら、ちゃんと終わりました。同じように返済で苦しんでいる人の、少しでも参考になればと思います。
どこに相談すればいいか迷っている人のために、法テラス・弁護士・司法書士の違いと選び方を別の記事にまとめました。
借金の無料相談はどこにする?債務整理の相談先の選び方
まとめ:結局、身の丈に合わせるのが一番だと思う
3年かけて完済して、いちばん強く思ったのはこれです。
任意整理は、借金を軽くしてくれる仕組みではあります。でも、タダではありません。私の場合、債権者への返済とは別に、振込手数料で約11万円、それに司法書士への報酬も別途かかりました。借りたお金を返すだけでなく、返すための手続きにもお金がかかる。これが、実際に通ってみた正直な感想です。
だから、たどり着いた結論はシンプルです。最初から、身の丈に合ったものを、無理のない形で持つ。これに尽きます。
たとえば車。私は今、生活にも仕事にも十分な軽自動車に乗っています。見栄で高い車を選ぶのではなく、必要十分なものを現金一括で買う。これがいちばん気楽で、家計にもやさしい。私自身の乗り換えの記録は、軽自動車を現金一括で買った記録にまとめています。
逆に、いちばん避けたいのが残価設定ローン、いわゆる残クレです。毎月の支払いが安く見えても、車が自分のものにならないまま乗り続け、最後にまた選択を迫られる。レクサスやアルファードを残クレで、というのは、私に言わせれば論外です。なぜそう考えるのかは、残クレをおすすめしない理由で詳しく書きました。
家についても、私は同じように考えるようになりました。新築でマイホームを建てるより、私は賃貸のほうが性に合っています。家を建ててしまうと、たとえば隣に問題のある人が住んでいても、簡単には動けません。35年ローンを抱えて、その場所に縛られ続ける——それは私にとって、安心よりも悩みの種に見えてしまう。もちろん持ち家には持ち家の良さがあるので、これはあくまで、借金で苦労した私個人の価値観です。
大きな買い物を、ローンで背伸びして手に入れる。その一つひとつは小さな判断でも、積み重なると、気づけば返済に追われる生活になっていきます。私はそれを一度経験しました。だからこそ、身の丈に合ったものを、無理なく持つ。これが、完済した私がたどり着いた、いちばん地味で、いちばん確かな答えです。
この記事は個人の体験の記録です。債務整理の可否や具体的な手続き・費用・信用情報への影響については、必ず司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。
お金の問題で困ったときは、消費者ホットライン「188」(いやや)でも相談窓口を案内してもらえます。
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