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「人を紹介すれば儲かる」に乗ると、お金どころか信用も失う|ネットワークビジネスの正体と断り方

節約・お金
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「スマホ一つで月収○万円」「人を紹介するだけでいい」——友達や、SNSで知り合った人から、こんな”うまい話”を持ちかけられたことはありませんか。それが、ネットワークビジネス(MLM)です。

これはここまでのシリーズで扱ってきた金融”商品”とは少し毛色が違います。あなた自身が”売る側・勧誘する側”に引き込まれる仕組みだからです。そして残念ながら、入った人の大半は損をします。なぜそうなるのか、構造から開けていきます。

先に結論

  • ネットワークビジネス(MLM)は、特定商取引法で「連鎖販売取引」として規制される、合法な販売形態。でも「合法=儲かる」ではない
  • 構造上、利益を得られるのはごく一部の上位会員だけ。大半は元すら回収できず、損をする
  • 主な収入は商品の販売より「人を紹介する報酬」。だからあなたは友達を勧誘する側になる=被害者が加害者になりやすい
  • 「早い者勝ち」「不労所得」「成功者に会える」は、ほぼ全部が勧誘の決まり文句
  • 商品の実体がなく会員集めだけなら、それは違法な”ねずみ講”の可能性が高い
  • もし契約してしまっても、20日間のクーリング・オフ+中途解約という出口がある

そもそもネットワークビジネスとは(合法、でも規制対象)

会員になって商品を買い、友人・知人を組織に加入させる。加入した人がまた次の人を加入させる。こうしてピラミッド状に組織を広げていく——これが連鎖販売取引です。MLM、システム販売、コミュニケーションビジネスなど、呼び名はいろいろあります。

ポイントは、違法ではないこと。ただし、特定商取引法で氏名等の明示義務・禁止行為・書面交付・誇大広告の禁止・クーリングオフ・中途解約など、細かく規制されています。裏を返せば、それだけトラブルが多いから、わざわざ法律で縛られているということです。

なぜ「大半が損をする」のか

ここが一番大事なところです。

会員は、新しい会員を増やさない限り収益を得られない構造になっています。でも、人は無限には増えません。だから、いずれどこかで頭打ちになり、破綻します。そして高額な利益を得られるのは、ごく一部の上位会員に限られ、大半の人は思ったような収益を得られず、逆に損をする——これは消費者問題に取り組む弁護士会や消費生活センターが、構造そのものの問題として繰り返し指摘していることです。

「早い者勝ち」とよく言われますが、これを裏返すと「後から入った人ほど不利」という意味です。あなたが誘われた時点で、すでにあなたの上には何層もの会員がいます。

主な収入は「商品」ではなく「人の紹介」

もう一つの落とし穴は、収入源がどこにあるかです。

商品を売って得る利益よりも、人を組織に加入させて得る「リクルートマージン(紹介報酬)」が主な収入になりがちです。だから、利益が出ると信じて、クレジットや借入れで商品を仕入れても、大半は収入にならず、借金と在庫だけが残ることになります。

さらに深刻なのは、稼ごうとすると友人や知人を勧誘するしかないこと。つまり、被害に遭った人が、今度は誰かを引き込む加害者になってしまう。強引な勧誘で、長年の人間関係そのものが壊れることも珍しくありません。

“うまい話”の決まり文句

勧誘では、だいたい同じセリフが出てきます。

  • 月収○万円も可能、人を紹介するだけでマージンが入る
  • 新しいビジネスだから早い者勝ち、今がチャンス
  • 簡単に元が取れる、勝ち組になれる
  • 最初だけ紹介すれば、あとは何もしなくても不労所得

そして典型的なのが、「成功者に会える」と自己啟発セミナーや勉強会に誘い、上位会員を”成功者”として登場させ、豪華な暮らしやブランド品を見せつけながら勧誘する手口です。見せられているのは、ごく一部の上澄みだということを忘れないでください。

いま狙われているのは「若者×SNS」

近年は、化粧品や健康食品のような「商品」すらない、会員集めだけの「モノなしマルチ」が増えています。

国民生活センターによると、こうした相談は特に10代から20代の若者で増加しています。友人や、SNSで知り合った人などから、暗号資産・海外事業への投資・アフィリエイトといった儲け話を「人に紹介すれば報酬を得られる」と勧誘され、契約してしまうケースです。事業者の実態も儲け話の仕組みもよく分からないまま、あとから解約や返金を求めても交渉が難しい、というのが共通点です。

きっかけはSNSが主流になっていて、SNS関連の消費生活相談はこの数年で急増しています(ある統計では、2017年から2021年で3倍超)。長く会っていなかった友人からの突然の連絡や、マッチングアプリで知り合った相手からの誘いも、典型的な入り口です。

なお、こうした「うまい儲け話」を疑う目線そのものは、別の記事でも扱っています。

“ねずみ講”との境目——ここは違法

商品の実体がなく、ただ会員を集めてお金を回しているだけなら、それは連鎖販売取引ではなく、法律で全面的に禁止されている「無限連鎖講(ねずみ講)」に該当する可能性が高くなります。

見分けの目安として、こんな点が挙げられています。

  • 商品の仕入価格と販売価格の差が極端に大きい/入会金が商品の価値に比べて過大
  • 運営側が商品の販売にはほとんど力を入れず、会員の勧誘ばかりに重点を置いている
  • 会員も商品を売る利益ではなく、新しい会員を入れた配当を当てにしている

「商品はおまけ、本当の狙いは人集め」——そう見えたら、ねずみ講を疑ってください。

全部が”悪”ではない——線引きをしておく

公平のために書いておきます。連鎖販売という仕組みそのものは違法ではなく、自社の商品に自信を持って、適切に運営している企業もあります。

問題なのは、多くの場合“売り方”です。勧誘の目的を告げずに呼び出す「目隠し」、うそや重要なことを言わない不告知、断らせないための威迫——これらは特定商取引法で禁止されている違法行為です。

ただし、たとえ合法に運営されていても、「大半が損をする」という構造そのものは変わりません。ここは混同しないでください。

断り方と、入ってしまったときの出口

最後に、守り方です。

断るとき。友達からの誘いでも、きっぱり断って大丈夫です。理由を細かく説明する必要はありません。注意したいのは、「お金がない」では断れないこと。借金させてでも契約を迫る手口があるからです。そして、その場で即決・即契約しない。一度持ち帰る。それだけで多くは避けられます。

判断に迷ったら、契約の前に1分だけ、これを自分に問うてください。

  • この報酬は、商品が売れて出るのか、それとも人を入れて出るのか
  • 断れない雰囲気に、のまれていないか
  • ネットで「(その名前) マルチ」「(その名前) 解約」と一度でも調べたか

もし契約してしまっても、出口はあります。契約書面を受け取ってから20日間はクーリング・オフができます(書面がない、記載に不備があるなら、その期間を過ぎてもいつでも可能です)。20日を過ぎたあとも中途解約ができ、条件を満たせば、それまでに結んだ商品の購入契約も解除できる場合があります。困ったら、消費者ホットライン「188(いやや)」に相談してください。

まとめ

  • ネットワークビジネス(MLM)は合法。でも構造上、利益はごく一部の上位だけで、大半は損をする
  • 主な収入は「人の紹介」。だから友達を勧誘する側=被害者が加害者になる
  • 「早い者勝ち」「不労所得」「成功者に会える」は勧誘の定番。商品の実体がない”モノなしマルチ”は、ねずみ講=違法の可能性
  • 友達からの誘いでも、きっぱり断る。「お金がない」では断らない。その場で契約しない
  • 契約しても、20日のクーリング・オフ+中途解約という出口がある。困ったら188
  • 大事なのは、誘ってきた相手を責めることではなく、お金とお誘いの”流れ”を知ること

この罠は、構造を知っているだけで避けられます。

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